笹尾歯科

虫歯は、口腔内の細菌が糖を分解して酸を作り出し、その酸が歯を溶かすことで発生します。初期の虫歯は痛みがほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうことが多いため、早期発見・早期治療が大切です。

虫歯の進行度は大きく5段階に分けられます。ごく初期の虫歯（C0）は、歯の表面がわずかに白く濁る程度で、適切なブラッシングやフッ素塗布により自然修復が期待できます。しかし、エナメル質に小さな穴が開いた状態（C1）になると、削って詰める治療が必要になります。さらに進行し、象牙質まで虫歯が達した（C2）場合は、冷たいものや甘いものがしみるなどの症状が現れます。この段階では、詰め物（インレー）や被せ物（クラウン）による治療が必要です。

虫歯が神経（歯髄）まで達すると（C3）、強い痛みを伴うことが多く、神経を除去する根管治療が必要になります。さらに放置すると歯の根の先に膿がたまり（C4）、最終的に抜歯をしなければならないケースもあります。

虫歯治療の基本は、できるだけ歯を削らず、神経を温存することです。近年では、歯科用レーザーや接着性の高い材料を用いた治療が進化し、できるだけ歯質を残しながら修復する方法が増えています。しかし、最も大切なのは虫歯を作らないことです。定期検診を受け、早めの対応を心がけることで、健康な歯を守ることができます。

歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨に炎症を引き起こす病気で、日本人が歯を失う最大の原因とされています。初期の段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行してしまうことが多いため、早期発見と継続的なケアが重要です。

歯周病は、歯ぐきの炎症（歯肉炎）から始まり、進行すると歯を支える骨が溶けていきます。初期の歯肉炎では、歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きの際に出血しやすくなったりします。この段階で適切なケアを行えば、元の健康な状態に戻すことが可能です。しかし、歯周病が進行すると、歯ぐきが下がり、歯がぐらつくようになります。最悪の場合、歯が抜け落ちてしまうこともあります。

歯周病の原因は、歯と歯ぐきの境目に付着するプラーク（歯垢）や歯石です。プラークは細菌の塊であり、放置すると炎症を引き起こします。歯磨きで除去できない歯石が付着すると、細菌が増殖しやすい環境ができ、歯周病が進行しやすくなります。そのため、歯科医院での定期的なクリーニングが欠かせません。

歯周病の治療は、まず適切なブラッシング指導を行い、プラークコントロールを徹底することから始まります。次に、スケーリング（歯石除去）を行い、歯周ポケット内の細菌を取り除きます。中等度以上に進行した場合は、ルートプレーニングと呼ばれる処置で歯根表面を滑らかにし、細菌の再付着を防ぎます。重度の歯周病では、歯周外科治療が必要になることもあります。

また、歯周病は全身の健康にも影響を与えることがわかっています。糖尿病や心血管疾患、早産のリスクを高めることが報告されており、単なる口の病気ではなく、全身の健康管理の一環として予防・治療を行うことが重要です。

歯周病を防ぐためには、毎日の歯磨きと生活習慣の改善が不可欠です。定期的に歯科医院でチェックを受け、適切なメンテナンスを行うことで、歯周病の進行を防ぎ、生涯にわたって健康な歯を維持することができます。